Zairyo-to-Kankyo
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58 巻, 6 号
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展望
解説
  • 八鍬 浩, 宮坂 松甫
    2009 年 58 巻 6 号 p. 214-220
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    石油精製装置用動力回収タービン(FCCガスエキスパンダタービン)のローターにはNi基合金UNS N07001が多用されるが,ガス中に含まれるH2SやSO2によって硫化腐食を受けることがある.本稿では,FCCガスエキスパンダタービンローターにおける高温硫化腐食問題とその対策について概説した.まずは,FCCガスエキスパンダタービンの動翼/ディスク勘合部に発生する粒界硫化腐食挙動に対するガス成分,温度および応力の影響について述べた.次に,ガスエキスパンダタービン動翼の破断メカニズムについて触れ,最後に,高温硫化腐食対策として,Cr拡散浸透処理,スチームクーリングシステムおよびFCCガスエキスパンダ用耐硫化腐食性Ni基合金について述べた.Cr拡散浸透処理は,複雑な形状の動翼/ディスクの勘合部にも高い寸法精度でコーティングを施すことが可能であり,かつ,ガスエキスパンダに高い耐食性を付与する.また,FCCガスエキスパンダローター用に開発された耐硫化腐食性Ni基合金は,従来材(UNS N07001)と同等の高温強度特性を維持しながら,より高い耐硫化腐食性を示す.
論文
  • 竹田 貴代子, 谷山 明, 工藤 赳夫, 内田 仁, 水木 純一郎
    2009 年 58 巻 6 号 p. 228-233
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    非鋭敏化低炭素316ステンレス鋼のSCC挙動について検討した.実験室的に形成した表面硬化層(HV=300)の残留応力深さ方向分布をSPring-8にて測定した.その結果,900 MPaを超える引張残留応力が最表面に局在することが定量的に分かった.さらに,応力制御したすき間付き4点曲げ試験を高温水環境(561 K,200 ppb SO42–,溶存酸素 8 ppm)にて実施した.高温水環境においてもSCC発生には限界応力値が存在することが明らかになり,本実験条件では600 MPaと高い値であった.表面加工による引張残留応力はSCC発生において重要な因子であることが示唆された.
  • 鷲頭 直樹, 篠原 正, 元田 慎一, 酒井 潤一
    2009 年 58 巻 6 号 p. 234-240
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/01
    ジャーナル フリー
    すきま腐食成長の微生物による助長要因を明らかにする目的で,自然海水に暴露したType329J4L鋼に対してカソード電流の測定ならびに微生物の分析を行った.夏季においては,0.2 V vs. SHEで測定されたカソード電流密度は,0.1μA/cm2未満の値から上昇し,2μA/cm2を超えるに至った.しかしながら,それ以外の季節においてはカソード電流密度に顕著な上昇は認められず,その値は 0.1μA/cm2未満にとどまった.16S rRNA遺伝子の解析結果から,カソード電流の2μA/cm2を超える値への上昇が認められた試験片表面のバイオフィルムに特有であった微生物は,Algibacter属およびGammaproteobacteria綱に属する真正細菌であることが判明した.存在した全種類の細菌数は,カソード電流増大に寄与しなかった.したがって,腐食速度上昇の原因となるカソード電流の増大は主に特異な細菌が作用することによって誘引され,Algibacter属もしくはGammaproteobacteria綱の真正細菌がカソード電流を増大させる働きを持つ可能性があると結論づけられる.
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