Zairyo-to-Kankyo
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論文
初期き裂を模擬した切欠き試験片によるASR損傷鉄筋の水素脆化割れの可能性の検討
小林 正人西方 篤水流 徹
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2010 年 59 巻 4 号 p. 136-142

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抄録

コンクリートのアルカリ骨材反応 (ASR) による鉄筋の破断について,先在する亀裂をVノッチで模擬した試験片を低ひずみ速度試験 (SSRT) により調べた.水素のカソードチャージによって破断ひずみが減少し,破面は外周部から内側に向かって擬へき開,ディンプル,へき開破面の3つの異なる破面からなっていた.水素をチャージしない試料の破面は,ディンプルとへき開破面であった.これらのことから,鉄筋に侵入した水素が擬へき開を引き起こすと考えられる.いずれの場合にも中心部に見られたへき開破面は,試料が破断する直前に起こる急激な変形と破壊によるものである.ASRによる破断試料に見られたような鋭利なスリットを与えた試料に水素をチャージした場合は,ASRで破断した鉄筋と同様の破面構成を示し,鉄筋の水素による脆化が示唆された.

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© 2010 公益社団法人 腐食防食学会
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