コンクリート中鉄筋の塩害による腐食防止対策としてカソード防食が適用されている.本稿では,現在適用されている主な通電方式と防食基準,および大気環境下という防食電流の供給が困難な状況下で有効に機能している原因について解説した.
コンクリート環境下において防食基準をクリアする十分な防食効果が得られているのは,カソード電流の供給による鉄筋表面の環境改善,すなわちpHの上昇および塩化物イオン濃度の減少によって自然腐食速度の低減効果によるところが大きい.
コンクリート中鉄筋のカソード防食においては,当初防食基準未達であっても,経時的に防食基準を満たすことが十分考えられる.防食の設計および維持管理方法についても経時的な変化も考慮した手法を検討する必要がある.
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