材料と環境
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論文
高温水中における炭素鋼の腐食に関する基礎的研究
礒本 良則佐藤 知徳
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2010 年 59 巻 7 号 p. 265-271

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抄録
発電所や化学プラントにおける高温水中の炭素鋼配管の腐食加速機構は,流動条件で生じる化学的,機械的作用による複雑な劣化であるために,必ずしも明らかにされていない.この高温水中の炭素鋼の基礎的な腐食現象を明らかにするために,小さな容器を用いた24時間または長時間の腐食バッチ試験が静止,流動(撹拌)条件下,463 Kまでの温度で行われた.炭素鋼試験片の質量が腐食試験前後,および表面に形成された鉄酸化物の電気的な除去処理後に測定された.それにより,酸化皮膜中の鉄量,溶液中に溶出した鉄量が炭素鋼の全腐食量から区別された.結果として,静止,流動条件下の373~393 Kの温度範囲において試験片の質量減少量が最大になるときに炭素鋼表面からの鉄の溶出は支配的であることが分かった.また,炭素鋼表面にマグネタイト皮膜が形成されているにもかかわらず,全腐食量は試験時間とともに増加し続けた.本試験における流動条件は鉄の溶出を加速する効果をもった.本実験結果に従って,この高温水における炭素鋼の初期腐食機構を提案した.
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© 2010 公益社団法人 腐食防食学会
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