Zairyo-to-Kankyo
Online ISSN : 1881-9664
Print ISSN : 0917-0480
ISSN-L : 0917-0480
論文
酸素欠乏地下環境における炭素鋼腐食モデリング
柴田 俊夫渡邊 正敏谷口 直樹清水 亮彦
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 62 巻 2 号 p. 70-77

詳細
抄録

酸素欠乏還元性環境中性水溶液環境中の炭素鋼はH2Oと反応してH2を発生し表面に腐食皮膜を生成する.腐食速度は腐食に伴って生成する腐食皮膜中を反応物質が拡散する速度によって決定される.腐食プロセスに関与するいくつかの拡散種の拡散定数は文献から知ることができた.しかしながら鉄酸化物中のH2Oの拡散定数は見いだすことができなかったので,適切な仮定を用いて推定した.物資移動論モデルによって炭素鋼の腐食速度をシミュレーションした.腐食皮膜ポア中をH2OおよびFe2+が液相拡散するモデル,および腐食皮膜中のH2O固相拡散モデルについて,表計算ソフトのExcelを用いてシミュレーションを行った.腐食電流密度と腐食減肉厚さの時間的変化やそれらのpH依存性および温度依存性を検討した.シミュレーション結果を実測値と比較した結果,腐食皮膜中のH2O固相拡散が酸素欠乏環境における炭素鋼の腐食速度を決定していることが示唆された.

著者関連情報
© 2013 公益社団法人 腐食防食学会
前の記事
feedback
Top