材料と環境
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論文
ラマンイメージングによる塗膜下腐食挙動の解析
吉岡 信明吉田 敦紀
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2015 年 64 巻 6 号 p. 251-258

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抄録
複合サイクル試験および塩水噴霧試験で腐食生成物を作製し,多変量解析を用いたラマンイメージングによって塗膜下の腐食挙動を解析した.リン酸亜鉛処理またはジルコニウム系化成処理後,カチオン電着塗装を施した試験板を用いて,乾湿繰返しサイクル下の腐食挙動に対する化成皮膜の影響を考察した結果,いくつかの知見が得られた.リン酸亜鉛皮膜ではカット部直下に素材近傍まで腐食生成物が残存し,マクロ腐食の形態で腐食が進行することで腐食先端部近傍にβ-FeOOHが生成する.それに対し,ジルコニウム系皮膜ではリン酸亜鉛皮膜よりはカット部直下に腐食生成物が残存しにくいことや皮膜が有する諸性能により,マクロ腐食の形態になりにくいため,腐食先端部近傍にβ-FeOOHが生成しにくいと推定した.このような塗膜下の腐食挙動の解析に対して,多変量解析によるラマンイメージングが有用であることを確認した.
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© 2015 公益社団法人 腐食防食学会
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