日本義肢装具学会誌
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症例報告
転移性脊髄腫瘍による対麻痺患者に対するロボットスーツHybrid Assistive Limb福祉用を用いた理学療法の経験
西尾 大祐前島 伸一郎大沢 愛子平野 恵健木川 浩志丸山 仁司
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2014 年 30 巻 2 号 p. 100-104

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抄録
転移性脊髄腫瘍による対麻痺例に対してロボットスーツHybrid Assistive Limb福祉用(HAL)を用いた理学療法を行い,その運用方法や治療効果を検討した.症例は47歳,女性で,疾患は乳癌・転移性脊髄腫瘍であった.HALを用いた理学療法を在宅復帰前に5日間連続して行い,在宅復帰後に週1回の頻度で行った.経過として,在宅復帰3カ月後の歩行能力の向上を認めたが,移乗・移動能力・日常生活活動・生活の質には変化がなかった.本例より,HALを用いた理学療法を継続して施行するには,長時間の端座位・立位保持能力と下肢筋力が欠かせず,患者がHALの操作を習熟することが重要と考えられた.また,HALを用いた理学療法は,歩行能力の向上に役立つ可能性があるものの,通常の理学療法との違いや適切な訓練量・期間などについては更なる検討が必要であると考えられた.
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© 2014 日本義肢装具学会
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