材料と環境
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論文-第62回材料と環境討論会 速報論文特集
自然海水中におけるSUS304の長期動的すきま腐食観察
松橋 亮野瀬 清美松岡 和巳梶村 治彦伊藤 公夫
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2016 年 65 巻 4 号 p. 143-148

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抄録
自然海水中で自然生起・進展するすきま腐食の実態を明らかにすることは非常に重要な課題である.今回,SUS304ステンレス鋼の金属/石英ガラスすきま部のすきま腐食挙動の動的観察を自然海水中で764時間行った.試験中,自然電位を連続的に測定し,試験後腐食深さ分布測定をおこなった.
その結果,1)SUS304の自然電位は約600mV付近までバイオフィルム生成の影響で貴化し,浸漬後331.5hで電位の卑化が起こり,すきま部の縁下近傍にすきま腐食が自然生起した.2)その後,時間経過とともに徐々にすきま内部に二次元的(面積的)にすきま腐食は進展してゆくものの,深さ方向への進展はなく,すきま腐食発生後,約100h経過した時点で,特定部位が三次元的(体積的)進展に転じるという特異な挙動を示した.3)試験後の試料電極に生じたすきま腐食部の腐食体積を求めた結果,すきま腐食発生から試験終了までに試料電極に流れた金属溶解電流は平均74.5μAと推定された.
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© 2016 公益社団法人 腐食防食学会
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