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論文-第62回材料と環境討論会 速報論文特集
海水及び淡水が注入された環境中の 炭素鋼鋼管の腐食挙動
小澤 正義明石 正恒
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2016 年 65 巻 4 号 p. 154-158

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抄録

東京電力株式会社福島第一原子力発電所 1 ~ 4号機の使用済燃料プールの冷却浄化系炭素鋼配管の健全性を確認するために必要な知見を得るため,実際に使用されているものと同等の炭素鋼鋼管(STPG370(JIS G3454))を供して,実環境を模擬した条件による最長6068hの腐食試験によって腐食挙動を検討した.
Larson-Skold 指数(LSI)が約0.1の水質環境では200A(Sch40) において自己不働態化している可能性が高いことが分かった.一方,LSIが約0.44及び約0.1の水質環境では 150A(Sch40)において局部腐食が発生することが観察された.自己不動態化傾向は試験中のpHの変化から考察され,水質のほかに流速によっても影響を受けることが示唆された.現状の1FのSFPの水質環境においては,冷却浄化系炭素鋼鋼管は自己不働態化し,局部腐食生起の可能性が高いと考えられた.

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© 2016 公益社団法人 腐食防食学会
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