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解説特集 腐食電気化学測定法講座
Ⅱ.腐食の電気化学測定法の基礎-定電流法-
境 昌宏
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2018 年 67 巻 1 号 p. 17-21

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抄録

定電流電解の一種にカソード還元法と呼ばれる電気化学測定法がある.銅の酸化物および硫化物皮膜厚さを測定するためにカソード還元法を適用した.市販の酸化銅,亜酸化銅,硫化銅の粉末試薬を−1mA/cm2の定電流でカソード還元すると,電位-時間曲線に電位が一定となるプラトーが現れた.酸化銅,亜酸化銅,硫化銅のプラトー電位はそれぞれ−0.7,−0.8,−1.15Vであった.1000ppm NaClおよび1000ppm Na2S溶液に浸漬した銅板上に形成された皮膜をカソード還元法により定性・定量分析した.カソード還元曲線から,NaCl溶液中で形成された皮膜の主成分は亜酸化銅であり,Na2S溶液中で形成された皮膜の主成分は硫化銅であることが判明した.断面観察から求めた皮膜厚さとカソード還元から求めた皮膜厚さは比較的よく一致した.

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© 2018 公益社団法人 腐食防食学会
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