施設の部材の健全度を評価するうえで，中性水溶液や土壌のような電解質中の鋼材腐食速度をモニタリングすることは重要である．モニタリング手法としてサイプ法（Current Interrupted Polarizing Extrapolation Method）が開発された．この方法は，分極試験によって得られたターフェル式からその場における腐食速度を計算するものである．本報では，酸素の供給速度が異なる水溶液中の鋼材について，サイプ法で腐食速度を測定し，試験期間中の積算電気量から求めた質量減と実際の質量減を比較することによってサイプ法の精度を評価した．その結果，サイプ法によって腐食速度を適正に測定できたことから，サイプ法によって水溶液中鋼材の腐食速度をその場でモニタリングできることがわかった．さらに，サイプ法によって，酸素拡散律速状態にある鋼材の腐食速度も測定できることがわかった．
