リン脱酸銅管の応力腐食割れに及ぼす湿度および酸素濃度の影響を調べるために,C‒リング試験を高湿度,低湿度,低酸素の3条件で実施した.高湿度条件の相対湿度,酸素濃度はそれぞれ100%,20%とした.低湿度条件での容器内空気の湿度は,乾燥剤を用いることで相対湿度90~95%を維持した.低酸素条件では,容器内空気を窒素ガスで置換し,暴露試験中は酸素濃度を5%未満に保った.応力腐食割れは高湿度および低酸素条件の両方で発生するが,発生までの時間は低酸素条件のほうが高湿度条件よりも長かった.低湿度条件では,1週間後の試料にも応力腐食割れや粒界腐食は生じなかった.湿度を下げることによって,リン脱酸銅管のSCC発生を抑える効果があることが明らかになった.