材料と環境
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67 巻, 4 号
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展望
解説特集 腐食電気化学測定法講座
論文 -第64回材料と環境討論会 講演大会論文-
  • 手塚 花実, 塚澤 尚悟, 八代 仁, 稲部 英則, 平田 陽一, 鳩谷 和希, 菱沼 崇
    2018 年67 巻4 号 p. 164-167
    発行日: 2018/04/15
    公開日: 2018/09/27
    ジャーナル フリー

    吸収式冷凍機内において,モリブデン酸塩が鋼の重要な腐食抑制剤として使用されているが,濃厚LiBr水溶液中での溶解度が小さく沈殿しやすいという問題がある.本研究では,モリブデン酸塩の沈殿抑制剤として亜硫酸塩の使用を提案するとともに,それが鉄の初期不働態化挙動に与える影響について調査する.また亜硫酸塩の作用が,より強い不働態化剤である硝酸塩によってどのように影響されるかについても調査する.亜硫酸塩の添加は硝酸塩併用の有無によらず鉄の腐食量を減少させ,鉄表面に形成する酸化物層(MoO2,Fe3O4)の形成を促進する結果となった.結論として,亜硫酸塩は吸収式冷凍機においてモリブデン酸塩濃度と鉄の腐食を制御するための有効な添加剤といえる.

  • 境 昌宏, 熊谷 政人, 大坂 彰, 入江 智芳, 八鍬 浩
    2018 年67 巻4 号 p. 168-171
    発行日: 2018/04/15
    公開日: 2018/09/27
    ジャーナル フリー

    リン脱酸銅管の応力腐食割れに及ぼす湿度および酸素濃度の影響を調べるために,C‒リング試験を高湿度,低湿度,低酸素の3条件で実施した.高湿度条件の相対湿度,酸素濃度はそれぞれ100%,20%とした.低湿度条件での容器内空気の湿度は,乾燥剤を用いることで相対湿度90~95%を維持した.低酸素条件では,容器内空気を窒素ガスで置換し,暴露試験中は酸素濃度を5%未満に保った.応力腐食割れは高湿度および低酸素条件の両方で発生するが,発生までの時間は低酸素条件のほうが高湿度条件よりも長かった.低湿度条件では,1週間後の試料にも応力腐食割れや粒界腐食は生じなかった.湿度を下げることによって,リン脱酸銅管のSCC発生を抑える効果があることが明らかになった.

  • 北原 学, 辻 彩, 浅田 崇史, 鈴木 智博, 堀川 敬太郎, 小林 秀敏
    2018 年67 巻4 号 p. 172-178
    発行日: 2018/04/15
    公開日: 2018/09/27
    ジャーナル フリー

    本研究では腐食環境中の応力-腐食-拡散性水素量の関係を明確化するために,市販の高張力鋼を用いて,pH2水溶液浸漬腐食中でCLTを実施したときの腐食速度および拡散性水素量について電気化学インピーダンス法および水素昇温脱離分析によって評価した.その結果,応力増加に伴い新生面が生成するために腐食速度が増加することが明らかになった.一方,応力増加に伴い拡散性水素量が増加した.特に塑性変形により転位・欠陥にトラップされる水素量に著しい増加が見られた.また,応力は腐食速度よりも拡散性水素量に強い影響を与えることが示唆された.

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