2018 年 67 巻 4 号 p. 172-178
本研究では腐食環境中の応力-腐食-拡散性水素量の関係を明確化するために,市販の高張力鋼を用いて,pH2水溶液浸漬腐食中でCLTを実施したときの腐食速度および拡散性水素量について電気化学インピーダンス法および水素昇温脱離分析によって評価した.その結果,応力増加に伴い新生面が生成するために腐食速度が増加することが明らかになった.一方,応力増加に伴い拡散性水素量が増加した.特に塑性変形により転位・欠陥にトラップされる水素量に著しい増加が見られた.また,応力は腐食速度よりも拡散性水素量に強い影響を与えることが示唆された.