A5083の耐食性に与える水溶液中のFe3+の影響を調査するために種々の水溶液中での電気化学試験と浸漬試験後の表面観察を行った.Cl-やSO42-といったアニオン種によらず,Fe3+を添加した水溶液中では添加がない水溶液よりも浸漬電位が卑化した.アノード/カソード分極曲線および表面観察結果から,A5083表面にFe3+が与える影響としてFe3+の還元がカソード反応として晶出物上に集中することが示唆された.晶出物上のカソード反応に釣り合うように晶出物周囲のアノード反応が大きくなり,晶出物周囲の溶解や電位の卑化が生じたと考えられる.