(公社)腐食防食学会では1995年以降「住宅環境における溶融めっき鋼板と塗装鋼板の腐食」をキーワードにして分科会活動(現在の分科会の名称:住宅環境における腐食分科会)を続けてきた.その中で,ラボ試験や実際の住宅内暴露試験において一定量の海塩を予め付着させて腐食を進行させる塩付着試験を行い,溶融めっき鋼板ならびに塗装鋼板の腐食量の違いを腐食減量の精密な測定と表面分析から検討した.本稿は住宅用構造躯体で使用されるこれら鋼板の寿命評価法について解説した.
溶融めっき鋼板においてはラボ試験や模擬容器暴露試験と住宅内暴露試験では腐食量の経時変化に相違が認められるものの,海塩付着量(Cl-)で住宅内における各種溶融めっき鋼板の寿命が予測しうる可能性が示された.塗装鋼板においては従来用いられていた塗膜膨れに加えて赤錆幅も住宅内環境における塗膜下の腐食状況を評価しうる指標となること,さらに赤錆幅と塗膜下の最大腐食深さは正の相関を示すことが示唆された.