材料と環境
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68 巻, 10 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
展望
技術資料
  • 大谷 俊介, 篠田 吉央, 堀越 直樹, Suad Al-Bahar
    2019 年68 巻10 号 p. 262-269
    発行日: 2019/10/10
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    今後,海水練りコンクリートの普及や構造物の高齢化とともに鉄筋の腐食診断の需要が高まると考えられる.本稿では,各種の鉄筋の腐食診断方法の紹介とクウェート国立科学研究所の技術者に技術提供した塩害劣化診断方法の概要について解説した.また,コンクリート構造物の現場の腐食診断に使用されている2種類の塩害劣化診断方法の測定値と,実験室で測定解析される2種類の電気化学測定の測定値を比較した.

論文 -第65回材料と環境討論会 講演大会論文-
  • 染谷 望, 星 芳直
    2019 年68 巻10 号 p. 270-273
    発行日: 2019/10/10
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    モルタルの電気化学インピーダンスの測定をおこない,インピーダンススペクトルとモルタルの細孔構造の関係を検討した.測定には細孔構造の異なるモルタル試験体を用いた.モルタルのインピーダンススペクトルの測定から,高周波数領域にモルタルの物性に起因する容量性半円あるいは半円の一部が観察された.このインピーダンススペクトルに対して等価回路によるカーブフィッティングにより,モルタル内の細孔により形成されるモルタル抵抗RMporeと,細孔溶液間のキャパシタンスCMporeの値を求めた.細孔構造が小さくなるとRMporeの値が増加するとともにCMporeの値も小さくなることが確認できた.これは,モルタル内の微細な細孔の増加による,細孔内の水分経路の減少よるものと考えられる.

  • 濵田 秀則, ダリア パタ, サブリナ ハラハップ
    2019 年68 巻10 号 p. 274-279
    発行日: 2019/10/10
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    世界気象機構(WMO)によると,現在の水の消費量は50年前の約3倍になっていると言われている.そのため,2025年までに世界の人口の3分の2にあたる人々が飲み水の確保さえ難しくなると危惧されている.コンクリート分野では年間数十億トンの淡水を消費しているものの,現状では海水の使用は極めて少ない.淡水使用を少しでも減らすために積極的な海水の使用が求められていると言える.この現状を踏まえ,(公社)日本コンクリート工学会は,平成24年度・25年度の2ヵ年の委員会活動を実施して,海水の適用に関する知見を収集しその問題点と改善策を提示した.本稿では,その活動の概要を紹介する.さらに,九州大学においても海水使用コンクリートの基礎的性状に関する実験的検討を行っており,本稿では,そこで得られているデータを示し,コンクリートの海水練混ぜに関する技術の現状およびその可能性について言及する.

    なお,本稿は2018年10月に富山市において開催された第65回材料と環境討論会において,著者3名(濵田,パタ,ハラハップ)が発表した内容をコンパクト化して取り纏めたものである.

  • 竹内 陽祐, 石井 龍太, 上庄 拓哉, 津田 昌幸, 渡辺 正満, 宮田 恵守
    2019 年68 巻10 号 p. 280-283
    発行日: 2019/10/10
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    ひび割れを有するコンクリート中の鉄筋の腐食挙動を調査するため,ひび割れを導入した2本の鉄筋を含むコンクリート供試体を屋外暴露し,電気化学測定を実施した.約1年の屋外暴露により供試体中の鉄筋間電位差の増加が確認されたが,屋外暴露を継続したところ,電位差が減少し元の状態に復した.この供試体を解体調査したところ,1本の鉄筋にのみ発錆が認められたことから,鉄筋が腐食した後,再不働態化したものと推定される.

  • 山路 徹, 宮坂 松甫, Adel Husain
    2019 年68 巻10 号 p. 284-287
    発行日: 2019/10/10
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    著者らは,公益社団法人 腐食防食学会が,一般財団法人JCCP国際石油・ガス協力機関から受託したプロジェクト「石油関連コンクリート施設への海水の有効利用及び維持管理に関する支援化確認事業(クウェート)」に参加し,クウェート科学研究所(KISR)への研究支援活動を行った.本稿では,上記の活動の一環として,練混ぜ水に海水を用いたコンクリート中における鉄筋の腐食について,JCI「コンクリート分野における海水の有効利用に関する研究委員会報告書」等の既往の知見を基に整理したものである.

論文
  • 吉田 夏樹, Abdulsalam Safaa, Joseph Antony
    2019 年68 巻10 号 p. 288-294
    発行日: 2019/10/10
    公開日: 2020/03/23
    ジャーナル フリー

    淡水資源に乏しいクウェート国において,海水練りコンクリートの利用が検討されている.硫酸塩土壌が広がる中東諸国では,海水練りコンクリートの耐硫酸塩性を検討しておく必要がある.直径4 cm,長さ80 cmの長尺のモルタル供試体について,実環境を想定した埋設実験を行った結果,硫酸塩土壌に接するコンクリートでは,地下水位以下,地下水位から地表面,地表面以上で異なる劣化現象が生じるものと推定された.また,10種類の配合条件で作製したモルタル供試体をNa2SO4溶液に浸漬させた結果,エトリンガイトを予め生成させる対策がなされた混和材を海水練りに用いると,膨張率が高くなる可能性があることが分かった.これらの実験結果を踏まえ,今後,クウェート国内の材料を用いて供試体を作製し,実際の土壌環境への曝露実験を進める必要があることを提案した.

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