2019 年 68 巻 10 号 p. 288-294
淡水資源に乏しいクウェート国において,海水練りコンクリートの利用が検討されている.硫酸塩土壌が広がる中東諸国では,海水練りコンクリートの耐硫酸塩性を検討しておく必要がある.直径4 cm,長さ80 cmの長尺のモルタル供試体について,実環境を想定した埋設実験を行った結果,硫酸塩土壌に接するコンクリートでは,地下水位以下,地下水位から地表面,地表面以上で異なる劣化現象が生じるものと推定された.また,10種類の配合条件で作製したモルタル供試体をNa2SO4溶液に浸漬させた結果,エトリンガイトを予め生成させる対策がなされた混和材を海水練りに用いると,膨張率が高くなる可能性があることが分かった.これらの実験結果を踏まえ,今後,クウェート国内の材料を用いて供試体を作製し,実際の土壌環境への曝露実験を進める必要があることを提案した.