2011年3月11日に発生した福島第一原子力発電所事故への対応として,原子炉ならびに使用済燃料プールに大量の海水および淡水が注入された.本来は高度な水質管理下にある原子力発電設備に大量の海水および淡水が注入されるという世界でも初めて経験する状況に対して,大学,学会・公的研究機関,プラントメーカ,水処理メーカ等から委員を募って「福島第一原子力発電所腐食対策検討会」が設置され,比較的状況が明らかとなっていた使用済燃料プールを対象として腐食問題への対策方法を検討した.検討会では,使用済燃料プールの安全機能に直結する主要な機器・構造物を抽出し,機器ごとに,考慮すべき腐食モード,発生可能性,対策を検討した.本稿では,検討の考え方と検討結果の概要を述べる.