2021 年 70 巻 12 号 p. 491-496
福島第一原子力発電所は,2011年3月11日に発生した地震に関連する東日本大震災の影響により廃炉が進められている.事故以前から腐食に関する対策は十分に取られ,事故後も速やかに対策が立てられ,適切に管理することで大きな腐食事故事例は発生していない.一方で,事故当時に行われた海水注入や連続的に建屋内に入り込んでいる地下水との接触によって微生物の影響が継続的に発生している.この様な観点と最新の微生物腐食研究の知見から,福島第一原子力発電所で起こりうる微生物腐食リスクについて整理する.