2021 年 70 巻 6 号 p. 192-198
核燃料再処理機器に使用されているTaに対し水酸化ナトリウム水溶液での除染による腐食挙動の経時変化を調査した.1から7 mol・L-1 NaOH水溶液に室温にて168 hまで浸漬した後,腐食減量測定,ラマン分光分析およびXRDを行った.腐食速度は濃度とともに増加するが,ある時間でピークを示した.7 mol・L-1にて48 h以上の浸漬で試料表面にNa8Ta6O19の生成をラマン分析およびXRDで確認した.7 mol・L-1にて分極抵抗の経時変化および皮膜抵抗と電荷移動抵抗の和の経時変化は同じ傾向を示した.Taの腐食挙動の経時変化はNaOH水溶液浸漬中に生成するNa8Ta6O19沈殿皮膜が成長しTaの腐食を抑制する事が原因と考えられる.