2023 年 72 巻 6 号 p. 182-189
研究の目的は,ショットピーニングされたType-316ステンレス鋼の190℃の熱時効による圧縮残留応力の緩和や材料特性の変化を調べることである.Type-316鋼は使用済み核燃料の乾式貯蔵容器(キャニスター)用材料として使われる予定である.応力緩和比:m(時効後の応力を時効前すなわちピーニングした状態の応力で除した値)は,35,000時間時効後も0.8よりも大きいことが判った.また,表面硬化のような材料特性の変化は,190℃の時効では小さく,粒界割れは35,000時間時効後も起こらないことがわかった.一方,前報で報告したように,340℃の時効では激しい粒界割れが起こっていた.