2024 年 73 巻 1 号 p. 12-20
本研究では,表面観察,深さ測定,電気化学インピーダンス法,分極測定を用いて,種々の土壌含水率の模擬土壌中における亜鉛の腐食挙動を調べ,亜鉛の腐食形態および腐食速度におよぼす土壌含水率の影響を評価した.その結果,土壌含水率が80%以上の高含水率では,亜鉛の平均腐食速度は低い値を維持し,土壌含水率による腐食速度の変化はあまり認められなかった.一方,低含水率では平均腐食速度は著しく増加し,土壌含水率50%でピークを示した.また,含水率80%以下では,含水率の低下とともに腐食形態が不均一になり,腐食深さが大きくなることが示された.土壌含水率が腐食形態と腐食速度におよぼす影響について,模擬土壌環境における亜鉛表面のO2のカソード還元反応と亜鉛のアノード反応の変化に基づいて考察した.