2004 年 53 巻 9 号 p. 446-450
準安定オーステナイトステンレス鋼製IDブレードは, 強度の圧延加工とひずみ誘起マルテンサイトのため弾性異方性と遅れ破壊感受性を示す. はじめにラム波速度の強い異方性から弾性スティッフネスを推定した. レイリー波速度は圧延方向からはずれるに従って400m/sも減少したが, シート速度は500m/sも上昇した. 水素チャージIDブレードは受入れ材の弾性波速度よりも高い速度を示した. 水素予チャージIDブレードの破壊強さは, 圧延方向で受入材の43%, 圧延と直交方向で73%に低下した. IDブレードは, 半径方向張上げ応力のもと, 4.17ksの水素チャージで脆性破壊を起こした. AE音源位置や破面観察から, ひずみ誘起マルテンサイトが遅れ破壊を加速していることが示唆された.