材料と環境
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耐候性鋼さび性状に及ぼす凍結防止剤の影響
凍結防止剤の散布される耐候性鋼橋梁における桁水洗の腐食抑制効果 (1)
原 修一三浦 正純内海 靖藤原 俊明山本 雅貴
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2005 年 54 巻 7 号 p. 337-343

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抄録
凍結防止剤により引き起こされる著しい腐食防止対策として, 四国にある2つの耐候性鋼製実橋梁桁の水洗試験を行った. 水洗の腐食に対する影響を調べる前に, 凍結防止剤がさび性状に及ぼす影響を調査した. このため, 部位ごとのさび厚, 採取した単位面積当たりのさび重量を計測した. 採取したさび粉末のキャラクタリゼーションは, イオンクロマトグラフ, XRD, N2吸着試験により行った.
さび中の水可溶性塩化物イオン濃度は季節により変動し, 冬期にピークを示した. この時期のさび中の水可溶性塩化物イオン濃度がほぼ0.2mass%を超えると, 残存する高濃度の塩化物イオンは夏期に, 厚く, 剥離性のさびの生成を促す. 高濃度の塩化物イオンを含む環境下で形成されたさび層はBET比表面積が減少する. さび粒子表面に吸着した大量の塩化物イオンは, さび粒子サイズを粗大化することが推察される. このことは粗大なさび粒子の集合体中の塩化物イオンが腐食を加速し, さび層の高い成長速度をもたらすことを強く示唆するものである.
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© 社団法人腐食防食協会
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