材料と環境
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54 巻, 7 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 水素のトラップ状態 (2)
    南雲 道彦
    2005 年54 巻7 号 p. 306-316
    発行日: 2005/07/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    トラップサイトにおける水素の平衡分布を結合エネルギーの効果に重点をおいて示した. 水素の拡散定数に及ぼす水素トラップの効果を拡散方程式の解と統計熱力学的扱いから概説した. また, トラップの kinetics に対する実験的及び理論的な推定と, 運動転位による水素輸送を概説した.
  • Masahiko Itoh, Kenji Machizawa, Hitoshi Yashiro, Ryo Ohmachi, Masaru K ...
    2005 年54 巻7 号 p. 323-328
    発行日: 2005/07/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    吸収式冷凍機用構造材料の腐食制御の観点から, 高温濃厚LiBr水溶液中で安定な電位を示し, 吸収液中の化学種の濃度のいずれかに応答するような電極を模索した結果, Mo/Mo/MoO2電極を開発するに至った. Mo/Mo/MoO2電極電位はLiOH濃度にネルンスト応答したが, Li2MoO4およびLiNO3濃度には応答しなかった. また低温低濃度のLiBr水溶液中では溶存酸素濃度に応答したが, 沸騰している17.3mol kg-1 LiBr水溶液中では応答しなかった. 本電極は吸収液に直接挿入可能で, LiOH濃度センサーあるいは炭素鋼の腐食電位を測定するための擬似参照電極としての利用が期待できる.
  • 米津 明生, 伊藤 進一, 諸藤 浩一, 佐藤 昌一, 長 秀雄, 竹本 幹男
    2005 年54 巻7 号 p. 329-336
    発行日: 2005/07/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    突合せ溶接した厚さ4mm, 4インチSUS304鋼管の外面応力腐食割れ (ESCC) からのアコースティックエミッション (AE) を内圧の関数として検出した. AEは, 中心周波数が50kHzと450kHzをもつ共振型センサで検出され, 自作の信号処理システムで解析された. 50kHzセンサで検出された3タイプのAEのうち, 広周波数帯域のラム波AEがESCCの場所に標定され, 昇圧と降圧のとき検出されることがわかった. ゼロ次対称モード波の放射分布解析によって, これらのAEは枝分かれした粒内型SCCの破面摩擦やSCC内さびの圧壊, 粒界型SCCの脱粒によって発生しているものと考えられた. 450kHzセンサが検出したAEは, 粒界SCCに沿う結晶粒の脱落によって放出されている可能性がある. 粒内型SCCの発生や成長による一次AEは通常のAEシステムではほとんど検出できないが, ESCCに関与する2次AEは検出できる. 論文では, プロセスプラントで起こるESCCからの2次AEを検出する方法についても議論した.
  • 凍結防止剤の散布される耐候性鋼橋梁における桁水洗の腐食抑制効果 (1)
    原 修一, 三浦 正純, 内海 靖, 藤原 俊明, 山本 雅貴
    2005 年54 巻7 号 p. 337-343
    発行日: 2005/07/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    凍結防止剤により引き起こされる著しい腐食防止対策として, 四国にある2つの耐候性鋼製実橋梁桁の水洗試験を行った. 水洗の腐食に対する影響を調べる前に, 凍結防止剤がさび性状に及ぼす影響を調査した. このため, 部位ごとのさび厚, 採取した単位面積当たりのさび重量を計測した. 採取したさび粉末のキャラクタリゼーションは, イオンクロマトグラフ, XRD, N2吸着試験により行った.
    さび中の水可溶性塩化物イオン濃度は季節により変動し, 冬期にピークを示した. この時期のさび中の水可溶性塩化物イオン濃度がほぼ0.2mass%を超えると, 残存する高濃度の塩化物イオンは夏期に, 厚く, 剥離性のさびの生成を促す. 高濃度の塩化物イオンを含む環境下で形成されたさび層はBET比表面積が減少する. さび粒子表面に吸着した大量の塩化物イオンは, さび粒子サイズを粗大化することが推察される. このことは粗大なさび粒子の集合体中の塩化物イオンが腐食を加速し, さび層の高い成長速度をもたらすことを強く示唆するものである.
  • 凍結防止剤の散布される耐候性鋼橋梁における桁水洗の腐食抑制効果 (2)
    原 修一, 三浦 正純, 内海 靖, 藤原 俊明, 山本 雅貴
    2005 年54 巻7 号 p. 344-349
    発行日: 2005/07/15
    公開日: 2011/12/15
    ジャーナル フリー
    凍結防止剤により引き起こされる耐候性鋼製橋梁の著しい腐食を防止するため, 日本道路公団 四国支社 (JH四国) では2つの実橋梁桁を用い, 水洗試験を3年間行った. 水洗は毎年, 凍結防止剤散布期間が終了した4月に, 2種類の水量・水圧3l/min (2MPa時), 5.5l/min (4MPa時) を用いて行った. さび層のキャラクタリゼーションは前報と同様に行い, 水洗された部分と水洗しない部分とを比較した. 水洗後, さび層中の可溶性塩化物イオン濃度は, 冬期のピークのほぼ半分に減少した. 水洗部のさび層厚および単位面積当たりさび採取量の増加は水洗しない部分に比べ, 試験期間中, 常に抑制された. 水洗されたさび層下の鋼の腐食減量も非水洗部に比べて低くなった. 塩化物イオン濃度の低い水洗部に形成されたさび粒子の比表面積は, 高濃度の残留塩化物イオンによってさび粒子成長の起きやすい夏期においても高く保たれた.
    これらのことから, 水洗はさび粒子中の塩化物イオンによって起きるさび粒子サイズの成長を抑制することによってさび層の保護性を維持することが示唆された. 凍結防止剤による腐食対策としての定期的な水洗は, 耐候性鋼橋梁の維持管理上有効である.
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