抄録
受刑者や出所者における無職率は高く、出所後の就労確保は再犯防止に向けての重要な課題であり、第二次再犯防止推進計画においては、「就労・住居の確保等」が重点課題の一つに掲げられ、その具体的施策の中には、「刑事施設における職業訓練の充実」が盛り込まれている。受刑中の職業訓練は、受刑者の就労率向上に資する重要な介入策の一つであると考えられるものの、それが実際に出所後の就労に結び付いているか否かについての科学的な検証は十分になされていない。そこで、本研究においては、職業訓練の実施状況や希望者、そして実施に至った者の特徴を明らかにするとともに、傾向スコアマッチングを用い、職業訓練の実施に至った者と至らなかった者との比較分析を行った。分析の結果、職業訓練の実施状況については希望率、実施率、保護観察終了時点での有職率などに男女別で違いがあり、職業訓練や就労を巡る状況は性別によって異なっていることが示唆された。特に、女性受刑者においては、職業訓練を実施すること自体に就労促進効果があるのに対し、男性受刑者においては職業訓練と就労支援指導を併用することで有職率が一層促進される可能性が認められた。こうした性差に対応した効果的な職業訓練の在り方について考察を行った。