2021 年 66 巻 p. 7-11
チオール特異的酸化剤であるジアミドは、活性酸素種の生成や脂質の過酸化を引き起こす。本研究では、イネにおけるジアミド感受性の評価法を確立した。また、本評価法を用いて、イネ品種間にジアミド感受性に関する遺伝的多様性が存在することを示す。イネの種子を2 mMジアミドを含む水耕液に播種し、7日間栽培したところ、供試した全ての品種においてシュートと根の生育が著しく阻害された。供試品種のうち、ジャポニカ品種コシヒカリが最も耐性であった。一方、根の生育は、インディカ品種南京11号が最も阻害された。多くの品種ではシュートよりも根の生育が大きく阻害されたが、アキチカラとホウネンワセではシュートの生育も根と同程度に大きく阻害された。本研究で確立した評価法を用いてジャポニカ品種銀坊主由来のγ線照射M2系統をスクリーニングした結果、原品種よりも根の生育が促進されたジアミド耐性変異体候補個体と阻害されたジアミド感受性変異体候補個体が得られた。