日本教科教育学会誌
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小学生の享受体験についての実験的研究(I) : 音楽享受における感じの言語化をとおして
石井 信生
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1986 年 11 巻 1 号 p. 1-7

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抄録

音楽の教授・学習過程においては,学習者のあらわな反応行動とあらわでない反応行動とを常に問題にしなければならない。前者は音楽的な知識や技能というような直接に観察,測定することが可能なものであるから,教育の実際においても常に問題にされているが,後者は音楽的な鑑賞力や理解力というような直接には観察,測定することが不可能なものであるから,往々にして見落される傾向にある。音楽性,音楽愛好の心情,豊かな情操を目標とする学校音楽教育は,音楽という総体に対する学習者のあらわでない内的な精神行動の構造を明確化し,それに基づく教授・学習過程においてこそ,音楽教育の目的を効果的に達成することができるものと考えられる。音楽学習者のこのようなあらわでない反応行動を,何らかの方法である程度でも,客観的に観察,測定する方法を確立させることは,音楽教育研究の急迫した課題である。本稿は,その課題を解決するための実験研究の結果の報告である。

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© 1986 日本教科教育学会
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