日本教科教育学会誌
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器械運動の学習指導に関する基礎的研究 : 腕立て開脚跳び越し(跳び箱運動)の習得過程の分析
久本 佳己後藤 幸弘辻野 昭
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1986 年 11 巻 1 号 p. 25-32

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抄録
小学校における器械運動の「腕立て開脚跳び越し」を取りあげ,小久保昇治の提案する練習段階にしたがって練習を行わせ,未習得者が跳び越しを習得していく過程が16mm映画と筋電図により追跡された。その結果,本運動習得のための技術的要因が導き出されるとともに練習段階の妥当性が検討された。得られた結果は次の通り要約された。(1)本運動を習得するためには,(1)踏み切り期で,内側広筋,大腿直筋,大殿筋による強力な踏み切り動作を行い重心を上方にあげること,(2)着手期前半で,上腕三頭筋,三角筋前部による腕の突っぱり動作を行い重心をさらに上方にあげること,(3)着手期後半で,広背筋による腕の後方への押し動作を行い重心を前方に推し進めることの3要因が重要であると考えられた。(2)小久保昇治の練習段階は,上記(1)で指摘された技術的3要因を身につけるための段階を含み妥当性のあることが認められた。なかでも「3段差」の練習は技術的3要因を含む有効な部分練習であると考えられた。
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© 1986 日本教科教育学会
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