日本教科教育学会誌
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青年学校女子部の歴史と家庭科
永島 利明
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1990 年 14 巻 2 号 p. 49-54

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抄録
家庭科という用語は1939年の青年学校教授及訓練科目要旨ではじめて使用された。しかし,家庭科の研究者,教員および教材研究受講者のなかには家庭科という名称は戦後使われたという事実誤認をするものがいる。この諭文はこの事実誤認を考察することを目的としている。1893年に実業補習学校規程が公布された。当時の公立学校の裁縫科の作品は父母から信用されておらず,女子は仕立屋,お針屋,裁縫塾で修業するものが多かった。また,実業補習学校女子部は高等女学校が設立されると,廃止されるものもあった。1935年より青年学校女子教員の養成が本格的に行われるようになったが,青年学校教員養成所女子部でも家庭科は使用されなかった。1944年の青年師範学校規程では家政が使われていた。青年学校教員養成所や青年師範学校の女子部は6大都市をもつ都府県では設立が遅いか,設立されなかった。このことから事実誤認が発生したと推定される。
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© 1990 日本教科教育学会
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