抄録
国際商取引を促進・遂行する媒介となる商業英語には,文法的な正しさはもとより,「表現効果」を高めるための文体への配慮が必要とされる。本稿では,このような商業英語の特質に鑑み,指導者が学習者に指導すべき文体上の要点を,(1)文の長さ,(2)文の形式,および(3)文の構造という,3つの側面から検討した。(1)に関しては,Readability(読みやすさ)を実現する文体について考え,その関連から,語彙の選択の問題にも言及した。(2)に関しては,形式的分類による文のタイプごとに,You-Attitude(先方本位の文章態度)を実現する文体について考察した。(3)に関しては,構造的分類による文のタイプによって,4通りの標準的なパラグラフ構成法を紹介し,その各々につき文体上の長所・短所を指摘した。以上の考察を通じ,商業英語の指導者が行うべき文体指導の一端を系統立てて示唆した。