抄録
本研究は幼稚園教育でのマイクロティーチング(MT)の効果を,指導を実際に行なった者と観察に参加した者との比較で検討したものである。養成校の1年次115名の女子学生に,基本的な教育技術を習得させるためにMTを実施した。そして,学生の意識したMTの有効性についてカテゴリーとその要素を作成し,要因を抽出したところ,5要因(「指導過程全般への効果」,「学習状態の認知や学習意欲向上への効果」,「観察学習効果」,「立案実施によるフィードバック効果」,「指導実践の難しさの認識への効果」)が得られ,それを「EMTKS」の要因とした。全学生を14班に分けて,各班から選出された1名の指導者が2回実地指導を行ない,他者は観察するという方法でMTを実施したところ,「繰り返しの効果」は観察者群で,「立場の違いによる効果」は指導者群で顕著であることがわかった。また,MTは単に指導技術を向上させるだけでなく,学習状態の認知や学習意欲の向上にも有益であることがわかった。