日本教科教育学会誌
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家庭科の高齢者関連学習 : 福祉教育の理念に基づいた問題解決型授業設計とその評価
荒井 紀子高間 由美子
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1996 年 19 巻 2 号 p. 71-79

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抄録

本研究では,まず初めに,家庭科の高齢者関連学習を構成する際の基本的視点として,福祉教育の理念に着目し,それについて検討した。次に,福祉教育の理念に基づいた問題解決型の授業の設計,ならびに授業の有効性についての分析を行った。授業設計は,福祉教育の3つの視点(1)人権感覚と意識の開発(2)現行制度の理解と問題把握(3)問題解決のための意欲の涵養と方法の体得,を重視した授業構成とし,学習方法として車椅子や買物カートによる生活空間の調査とそれを踏まえた解決方法の立案,発表からなるグループ学習,個人学習を組み入れた。福井大学附属中学校3年生を対象に技術・家庭で授業を実施した。授業前後の生徒の学習シートや自由記述を分析した結果,『老人を支える』ことに関する生徒の意識に変化がみられ,行動的,問題解決的意識が増加し,社会的視点や担い手意識もより強まる傾向がみられた。また高齢者関連学習への意欲・関心が学習しない生徒群に比べ増加し,授業の有効性が確認された。

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© 1996 日本教科教育学会
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