日本教科教育学会誌
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A Comparison of The Effects of Multicultural and Anti-Racist Teaching on Student Attitude Change
Megumi SEGAWA
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1997 年 19 巻 4 号 p. 207-214

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抄録
本研究の目的は2種類の社会科教材が,カナダの高校生の先住民族に対する意識に与える影響を比較することである。調査は1993年11月にブリティッシュ・コロンビア州バーナビー市の2つの公立高校の第11学年の生徒169名を対象に行われた。2つの実験群用教材は,多彩文化主義(multiculturalism)及び反差別主義(anti-racisism)教育論をもとに開発された。多彩文化主義教材を学習したグループは先住民族出身で経済界で活躍している人物の例や,先住民族の近年のカナダ政府からの政治・経済的自立に向けての活動について学習した。反差別主義教材を学習したグループは,過半数の先住民族の現状及び彼等が直面している社会的問題(教育,福祉,失業率など)と,その原因を作った19世紀のカナダ政府の先住民族に対する政策について学習した。統制群は実験期間中も従来のカリキュラムに従って学習を続けた。学習者の先住民族に対する共感/同情,態度,差別意識の変化は3種類の質問紙によって測定された。統計的処理の結果,多彩文化主義教材を学習したグループは他のグループに比べ,先住民族に対しより肯定的な態度を示すようになった。また反差別主義教材を学習したグループは他のグループに比べ先住民族に対しより高い共感/同情を抱くようになり,政府の人種差別的政策を避難する意識が高まった。
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© 1997 日本教科教育学会
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