抄録
スポーツ競技は,相手との相互関係において成り立ち,お互いが一定のルールの下で競い合い,他者との比較で勝ち負けを決定する。学校教育で行われているスポーツ活動では,お互いに競い合うという経験が大きな意味を持ち,競技大会や公式試合において勝つということのために練習し,試合をすることが主な目的として行われてきている。本稿では,このスポーツ競技の試合前後に「儀礼」(形式を整えた礼儀)として行われている挨拶に着目し,どのような意識を持って挨拶を行っているのか広島県下のM高等学校の生徒を対象にその実態を調査・分析し,スポーツ競技における挨拶の意味と役割を考察した。多くのスポーツ競技で,教育の一環として実施されている挨拶についての先行研究は武道以外では見あたらず,本研究がその挨拶についての研究としての基礎となることを目的としている。