日本教科教育学会誌
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21 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 湊 秋作, 山田 卓三
    原稿種別: 本文
    1998 年21 巻2 号 p. 1-9
    発行日: 1998/09/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,生活科における自然遊びの意義を明らかにするのが目的である。生活科における自然遊びは,自然理解と感性を育成するとともに人間と環境とのかかわりの理解を助け環境教育の基盤である環境への思いやりを育てる。また,自然遊びは体力や意欲を強め,体験的な知識を身に付けさせて総合知となり,児童の生きる力を育てる。
  • 松浦 正史, 原田 信一, 安東 茂樹
    原稿種別: 本文
    1998 年21 巻2 号 p. 11-18
    発行日: 1998/09/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    技術・家庭科の授業場面において生徒の学習意欲を喚起させることは,学校教育の中心的課題である。そして,そのためには教師が生徒の学習意欲を理解することが重要である。本研究は,技術・家庭科の1単位授業時間における生徒の学習意欲尺度を作成し,それを用いて生徒の学習意欲の推移を調査する目的で行った。そして,次のような結果を得た。(1)生徒の学習意欲は因子分析によって,「製作願望」,「支援要求」,「挑戦的志向」,「認知的葛藤」の4因子が抽出された。(2)作成した調査票の活用により,小単元ごとの学級全体の学習意欲の推移を視覚的に捉え,生徒の理解を深めることができた。(3)技術科担当教師の授業観察と,調査票から得られた生徒の特徴は類似している。(4)支援要求因子と挑戦的志向因子の偏差から,生徒の学習意欲の特徴が明らかになった。また,両因子得点の偏差の関係から生徒個人の学習意欲の特徴を大別することができた。
  • 齋藤 昇
    原稿種別: 本文
    1998 年21 巻2 号 p. 19-27
    発行日: 1998/09/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    学校教育において,児童・生徒の創造的思考をどのようにして活性化させるかは重要な課題である。これまでに提案されている創造的思考過程のモデルの多くは,時系列的な側面からその現象を捉えており,知識や情報がどのように変容し構成されるかについてはあまりふれられていない。そこで本研究では,創造過程における知識や情報の変容・構成を考慮した創造性創出過程のモデルを提案し,さらにそのモデルにもとづいた授業実践を述べる。授業実践においては,創造性を発揮させるための基盤づくりの手法とその効果を明らかにする。実践の結果,基盤づくりの手法としてコンセプトマップを取り入れた学習法は,通常の学習法に比べて,(1)新しい価値のある課題の発見が多い,(2)情報伝達力が高い,(3)課題を深く探究する傾向が強い,などの利点があることが明らかになった。
  • 村井 護晏, 加藤 由加里
    原稿種別: 本文
    1998 年21 巻2 号 p. 29-34
    発行日: 1998/09/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    授業のそれぞれの場面での情動反応としての皮膚抵抗反応をパワー・スペクトル分析し,その勾配を比較することにより,授業特性についての新しい知見を得ようと試みた。その結果として,次のことを得た。(1)授業中の皮膚抵抗反応のパワー・スペクトル分析ではその勾配は1/f^<1.1>〜1/f^<2.1>程度の間にある。(2)授業に気楽に参加しているときにはその勾配は1/fに近づき,授業に集中するときには,1/f^2に近づく傾向にある。(3)全体として,ベテラン教授者によるものはその勾配は高く,新米教授者は低い。(4)授業中のVTR視聴はその勾配を高め,注意を集中させている。これは当然の結果でもあるが,ベテラン,新米教授者によるものいずれも同様の傾向がある。(5)子供と対話を取りながら進めていく授業場面ではベテラン教授者の方が勾配が高く。実習生の授業より,ベテランによる授業の方が子供達を集中させている傾向にある。(6)説明・解明場面ではベテラン,実習生の間での差はない。
  • 國本 景亀
    原稿種別: 本文
    1998 年21 巻2 号 p. 35-43
    発行日: 1998/09/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    一般に,数学は絶対確実な基礎の上に築かれており,人間の経験から構成されるのではないと思われている。本稿では,そのような数学観を歴史的に反省し,その誤りを指摘するとともに,新しい数学の哲学(準経験主義)の台頭と特徴を考察し,準経験主義にもとづく証明指導の方法論を提案した。準経験主義に基づく証明指導として,(1)数学の力動的成長過程の中に証明活動を位置付けること(2)社会的活動として証明活動を捉えること(3)証明の発見的機能,説明的機能そしてコミュニケーション機能を一層重視することを提案した。
  • 安東 茂樹
    原稿種別: 本文
    1998 年21 巻2 号 p. 45-52
    発行日: 1998/09/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    中学校技術科教育での加工学習として,木材加工領域の「のこぎりびき」,「くぎ打ち」及び「かんなけずり」の3種類の加工方法について,中学生の技能の変化を測定し技能習得の状況を明らかにした。本研究では,木材加工領域が未履修の中学1年生を対象に,「教師指導型」,「自己訓練型」及び「無指導型」のグループに分け,2度に渡る実験を実施した。そして,木材加工領域の学習を体験した後に同じ3種類の加工方法についての加工実験を行い,全体としての技能の習得状況を調査した。結果として,「技能は,工具のはたらきやしくみを認識し,その使用方法を理解し,繰り返し練習することで上達し形成される」ことが明らかになり,技能の習得は「技能の正確な認識」と「技能の反復」が必要であることが確認できた。
  • 崔 成伸, 沖原 謙
    原稿種別: 本文
    1998 年21 巻2 号 p. 53-63
    発行日: 1998/09/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    スポーツ競技は,相手との相互関係において成り立ち,お互いが一定のルールの下で競い合い,他者との比較で勝ち負けを決定する。学校教育で行われているスポーツ活動では,お互いに競い合うという経験が大きな意味を持ち,競技大会や公式試合において勝つということのために練習し,試合をすることが主な目的として行われてきている。本稿では,このスポーツ競技の試合前後に「儀礼」(形式を整えた礼儀)として行われている挨拶に着目し,どのような意識を持って挨拶を行っているのか広島県下のM高等学校の生徒を対象にその実態を調査・分析し,スポーツ競技における挨拶の意味と役割を考察した。多くのスポーツ競技で,教育の一環として実施されている挨拶についての先行研究は武道以外では見あたらず,本研究がその挨拶についての研究としての基礎となることを目的としている。
  • 滝山 桂子, 田部井 恵美子
    原稿種別: 本文
    1998 年21 巻2 号 p. 65-73
    発行日: 1998/09/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    中学校「家庭生活」領域に総合的実践を導入した,「家庭の経済」と「家庭の仕事」を総合した題材構成案を提案した。この案に基づいて授業を実施し,題材構成する際の留意点および総合的実践の意義について検証した。その結果,次のようなことが判明した。1.同じ事例でも,授業に対する意識は,意識の種類や授業方法により違いがある。意識を高めるために,生徒の利用率や適時性などの実態把握をする重要性が確認された。2.授業方法は個別の意識との関連が深く,「調査」と「講義」は主として「有益」を,「実習」は「意欲」を高める傾向がある。総合的実践において,多様な授業方法を用いることにより,生徒の総合的な認識の育成に役立つといえる。3.意識に与える影響を,事例と授業方法で比較すると,今回の授業では事例のほうが大きく,「理解」において顕著であった。生活を多面的に把握でき,生徒が関心をもつことができる,事例の選択と開発の重要性が確認された。
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