2000 年 22 巻 4 号 p. 19-25
教育学部生は,将来教師となった場合に対し,理科の学習内容に対して不安を感じていることが報告されているが,教育実習での理科指導時にも,児童・生徒がどのような科学的能力を保有しているかに不安を感じていると考えられる。本研究では,クロッファーが示した理科の行動目標を利用して,教職志望の他学部の学生も含めた学生が,理科指導時に児童・生徒に必要と考えている科学的能力を明らかにすることを試みている。解析は,全被験者の平均データと,同時に調査した学生の指導態度に基づいて分けられた4つのグループ毎のデータの両面から行った。その結果,学生は基礎的な実験技能や科学的な態度などを児童に必要としており,また学生の教育実習の経験度や理科の習得度によっても,必要としている科学的能力の傾向が異なることを明らかにできた。主成分分析からは,解釈可能な5つ因子を得ることもできた。