日本教科教育学会誌
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高校英語教科書における人権・差別問題の扱い方の特徴
鹿野 敬文
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2000 年 23 巻 2 号 p. 65-74

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抄録

この研究において,まず英語教科書における人権(差別)問題の扱い方の特徴を様々な側面から調べた。その結果,「名のある人を主人公にした,アメリカの過去の(人権や差別に関する)出来事」や「忙しい生活の中でつい見失いがちになる『心の目』を開かせてくれる題材」がレッスンのテーマとしてよく選ばれていることが明らかになった。次に,教科書の内容を人権教育の立場から,そして地球市民教育の立場から検討してみた。その結果,何らかのコンセプトに基づいているレッスンは少なく,また地球市民教育の視点を取り込む工夫をしているレッスンも殆どないことが明らかになった。これらのことを踏まえて,人権・差別関連のレッスンの内容を, (知的な高校生が読んでも)満足するような,そして同時に「(英語での発信・交流を含めた)地球市民に必要な力」も身につくようなものにするための改善指針を提示した。

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© 2000 日本教科教育学会
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