抄録
本研究の目的は,小学校6年「電流の働き」の認知状況と情意の関係を明らかにすることである。調査対象は,小3から中3までの236名である。研究手順は以下の3段階である。(1)小学校理科6年「電流の働き」における導入を特定する。(2)授業をしながら導入における事象提示から生起する情意を測定する。(3)認知状況と情意の関係で分析する。なお,情意の測定は,「あれっ」「やはり」等の主体的な判断を表す副詞等の選択,「きっと」「たぶん」等の仮定推量副詞の選択,そして感想文の記入という方法を採用した。測定の結果,電流の働きを未学習の子どもは,「あれっ」という情意,学習済みの子どもは,「やはり」という情意が多いことが確認できた。また,6年「電流の働き」の学習を境に,「疑問」から「見通し」へと変化していることも確認できた