日本教科教育学会誌
Online ISSN : 2424-1784
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24 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 池田 幸夫
    原稿種別: 本文
    2002 年 24 巻 4 号 p. 1-10
    発行日: 2002/03/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    ある授業を受けることによって,学習者はその授業に関連した概念に対するイメージを変化させるであろう。この変化を適当な方法で数量的に捉えることができれば,イメージ変化に基づいた授業評価が可能である。イメージ変化を捉える方法としては,互いに反対の意味をもった形容詞対を用いて,授業の前後におけるイメージを測定する方法(池田,2000)と,イメージ変化量を直接測定する方法(改良型イメージ変化図法)がある。本研究では,大学の授業にこれらの方法を実際に適用して,イメージ変化図による授業評価の可能性を実践的に検討した。検討の結果,次のような事実が明らかになった。(1)形容詞対を用いたイメージ変化図法は,学部の違いや学習者の初期イメージの影響を受けることがある。(2)改良型イメージ変化図法はこのような影響を受けにくく,授業評価法としての適用可能性はより大きい。
  • 日高 正博, 後藤 幸弘
    原稿種別: 本文
    2002 年 24 巻 4 号 p. 11-20
    発行日: 2002/03/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    現在の総合学習への関心の高まりをブームに終わらせないためには,意義,内容及び方法的原理を十分に検討し,実践することが必要である。子どもや教育の現状を踏まえると,「構造化能力十実践力十問題解決能力=生きる力」の育成を総合学習の意義とするのが妥当であると考えられた。また,内容設定の条件として「課題性」「総合性」「共感・交流性」「発展性」「集約性」「実用性」の6つが措定され,これらを満たす内容を中核に置くことが望ましいと考えられた。さらに,総合学習の基本的な学習過程は,「『課題形成の段階』→『課題解決の段階』→『内容の発展と総合の段階』↔『内容の集約(共感・交流)の段階』↔『課題解決結果の確認・応用と新たな課題形成の段階』の発展的繰り返し」とするのが1つの方法と考えられた。
  • 松岡 博信
    原稿種別: 本文
    2002 年 24 巻 4 号 p. 21-30
    発行日: 2002/03/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究では,英語の特性である動詞と目的語の「厳密隣接性」の習得を普遍文法理論によって立てた仮説のもとに,文法力,言語知識(正解度)および言語運用(反応時間)の3種類の要因に分けて調査し,その結果,厳密隣接性習得を前提にした仮説とは異なる結果,すなわち動詞と目的語の間に介入する副詞語句が多ければ正解度は下がり,かつ反応時間が余分にかかるという結果を得た。このことは何よりも,厳密隣接性に関わるパラメータ再設定は予想したほど成功しておらず,特に日本人英語学習者の文法力下位群は,大学生になってもその習得が完全でないことを示している。同時に,本調査の結果は,言語習得過程に関する研究は「言語知識」のみならず「言語運用」というものもそのモデルに加えるべきであることを示しており,日本の英語教育において知識だけではなく,英語の処理・判断の反応時間を重視した指導・評価法を考案する必要があるとする,日本の英語教育における改革の方向の一端を示唆している。
  • 鏑木 良夫
    原稿種別: 本文
    2002 年 24 巻 4 号 p. 31-39
    発行日: 2002/03/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,小学校6年「電流の働き」の認知状況と情意の関係を明らかにすることである。調査対象は,小3から中3までの236名である。研究手順は以下の3段階である。(1)小学校理科6年「電流の働き」における導入を特定する。(2)授業をしながら導入における事象提示から生起する情意を測定する。(3)認知状況と情意の関係で分析する。なお,情意の測定は,「あれっ」「やはり」等の主体的な判断を表す副詞等の選択,「きっと」「たぶん」等の仮定推量副詞の選択,そして感想文の記入という方法を採用した。測定の結果,電流の働きを未学習の子どもは,「あれっ」という情意,学習済みの子どもは,「やはり」という情意が多いことが確認できた。また,6年「電流の働き」の学習を境に,「疑問」から「見通し」へと変化していることも確認できた
  • 吉富 功修
    原稿種別: 本文
    2002 年 24 巻 4 号 p. 41-50
    発行日: 2002/03/30
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本論は,日本音楽教育学会誌『音楽教育学』の投稿論文115編と,広島大学大学院教育学研究科の音楽教育学に属する修士論文58編と博士論文2編を対象として,その動向を展望した。その視点として,(1)研究内容,(2)研究方法,(3)キーワード,(4)質的研究か量的研究か,という4点を設定し,各論文を分類した。その結果,『音楽教育学』では実験的研究や量的研究が少ないこと,広島大学大学院教育学研究科の修士論文と博士論文では実践的研究が皆無であること,等の知見を得た。
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