抄録
本研究では,大学生の生活科の認識を測定する尺度を作成し,生活科教育法の授業を経験することにより,どのような因子構造の変容が見られるかを検討することを目的とした。高垣(2003)の研究結果から導き出された生活科教育法の授業を受講前の学生の因子構造に基づき,大学の生活科授業を設計・実施した。生活科教育法の授業を受講後の学生の認識の構造は,4つの因子で説明できる。(1)他領域への発展:「他教科との関連」等の4項目から構成される。(2)教科としての意義:「新設の経緯」等の3項目から構成される。(3)学力の育成:「自主的に学ぶ力」等の5項目から構成される。(4)実践上の課題:「評価の困難さ」等の5項目から構成される。以上の結果から,大学の生活科教育法の授業において,「学びのスタイル」及び「直接経験による学び」に焦点を当てた教授的働きかけを行うことで,受講生の生活科の認識の構造が多様になることが示唆された。