抄録
本稿は,国語教育学研究の最近の動向を探ろうとするものである。1980年から2000年の直近の20年間については,全国大学国語教育学会編『国語科教育学研究の成果と展望』(2002.6,明治図書)を資料とした。また最新の2001年以降については,全国大学国語教育学会のシンポジウムおよび課題研究の主題を資料とした。その結果,いずれの時期も,伝統的な研究一歴史的研究,臨床的研究,比較(外国)研究,実践的・実証的研究と,開拓的な研究一関連諸科学の研究手法も取り入れたナラトロジー,コミュニケーション論,語用論・認知言語学,読者反応批評論などの研究が,それぞれ着実に積み重ねられ,堅実な成果を生み出してきていることが明らかになった。