抄録
話す・聞く能力を育成するためには,認知的側面に着目し,適切に情報処理を行う能力の伸長を図らなくてはならない。適切な情報処理に求められる「知識」として挙げられるのは,情報処理という問題を解決するためのアルゴリズムとアルゴリズム遂行のための知識である。したがって,これらに習熟することが話す・聞く能力の育成につながるということになる。中学生の独話理解場面を取り上げて,情報処理のありようを捉えた。すると,情報を分節化することや相互の関係を捉えることができにくく,構成についての知識を活用してマクロ構造を把握することができにくいという実態が見られた。これは,分類整理や意識的に関係を捉える訓練が不足しているために生じていると考えられる。今後は,他場面における調査も行い,中学生の認知的側面における実態を立体的に捉えていきたい。