日本教科教育学会誌
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体育授業における共感性の構成因子の検討 : 性差および校種間差の観点から
藤谷 かおる
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2010 年 33 巻 2 号 p. 11-20

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抄録
本研究の目的は,Davisの対人的反応性指標を用い,体育授業における共感性の(1)構成因子を明らかにし,(2)その構成因子の性差および校種〔小学生(4年生から6年生),中学生,および高校生〕間差を明らかにすることであった。体育授業における共感性に関する30項目からなる調査が被調査者に実施された。小学4年生から高校3年生までの男女3703名の資料を分析した結果,Davisが提案する「共感的配慮」「視点取得」「想像性」および「個人的苦痛」の4因子が解釈された。前述の全ての因子において有意な性差が認められ,女子が男子よりも高かった。男女とも「共感的配慮」因子と「視点取得」因子の平均因子得点は,小学生,中学生および高校生の順に有意に高く,一方「個人的苦痛」因子は男子中学生と高校生を除いて有意に低かった。また,「想像性」因子では,女子小学生と中学生間を除いて校種間に有意差が認められなかった。以上、体育授業における共感性は「共感的配慮」「視点取得」「想像性」および「個人的苦痛」の4因子からなり,これらのほとんどの因子には性差と校種間差が存在すると判断された。
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© 2010 日本教科教育学会
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