日本教科教育学会誌
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幼児期の自己決定力と保護者の意識
松本 勝信
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2011 年 34 巻 1 号 p. 37-43

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抄録

本研究は,わが国おいて2000年あたりから指摘され始めた幼児教育の今日的課題としての「幼児の生活リズムの乱れや基本的な生活習慣の形成不足や,規範意識や自制心の希薄化,コミュニケーション能力の低さ等の問題」や「家庭内や地域における幼児の経験の少なさ」などについて,内発的動機づけの基盤となる自己決定力に視点を当てて検討するものである。その視点から,幼児の最も身近な人的な環境としての保護者の子育ての意識特に自己決定力に対する意識と,幼児自身の自己決定と保護者からの他者決定の割合が,幼児の自己決定力にどのような影響を与えているかを明らかにすることが本論文の目的である。そのために,幼児をもつ保護者を対象にして,「幼児の自己決定力に対する保護者の意識」,「わが子の自己決定の経験」,「わが子の自己決定力の実態」についての質問紙調査から検討した。その結果,「幼児の自己決定力に対する保護者の意識」が高い場合は低い場合に比べて幼児の自己決定力が高いことが指摘できた。しかし,「幼児の自己決定の割合」と幼児の自己決定力の高低についての関連は指摘できなかった。

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