日本教科教育学会誌
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算数・数学教育における創発の捉え方に関する解釈的研究
創発を生み出す授業の活性化を目指して
吉村 直道山口 武志中原 忠男小山 正孝岡崎 正和加藤 久恵前田 一誠宮崎 理恵
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2015 年 38 巻 2 号 p. 47-56

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抄録

創発は,創造や発明,発見以上に重要な面があるけれども,それらとの違いが明確でなく,とりわけ授業では捉えにくいものである。こうした状況を打開し,創発を生み出す授業を活性化するために,本稿では創発の捉え方を明確化することを目的とした。そのためにまず,先行研究を検討し,創発の特性を導き出し,それに基づいて創発の要件として(E1)創発の基本,(E2)創発の主体,(E3)創発の方法,(E4)創発された事柄,(E5)創発の新規性・価値性の5つを提起した。次いで,その要件に基づいて,既に創発と認められている事例と2つの算数科授業の事例を考察し,その適切性を例証するとともに,質の異なる4つの創発を同定した。さらにそれらに基づいて,創発の主体と創発の事柄に着目して,創発が4つのタイプに類型化できることを提起した。最後に,本稿の「創発の特性」「創発の要件」「創発の類型」を合わせて,「創発の捉え方」とすることを示した。

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© 2015 日本教科教育学会
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