2016 年 38 巻 4 号 p. 67-76
本研究では,授業の目標表現によって,授業者の形成的評価が学習者にどのような影響を与えるかについて着目した。授業の目標表現に評価基準となる「数値的な言葉」,「学習のキーワードとなる言葉」,「活動の主語を示す言葉」等を取り入れて実践した授業について,授業者の自己評価や授業者に対するインタビューを分析した結果,授業で学習者の目指す姿が具体的になり,授業者と学習者で目標を共有して取り組むことが明らかになった。また,授業のプロトコル分析の結果から,目標表現に評価基準となる言葉が示されることで,授業者の形成的評価のフィードバックが,学習者の目標の理解に効果的に働くことが示唆された。