抄録
本研究の目的は,中学校技術・家庭科技術分野の内容「A 材料と加工に関する技術」のものづくり活動における生徒の「癒し」と「ストレス」の感情状況を構造的に把握し,学習意欲との関連性を明らかにすることである。調査の結果,ものづくり活動における「癒し」と「ストレス」の感情状況は,「癒し」,「プロセス由来ストレス」,「アパシー由来ストレス」の3因子からなることが明らかとなった。また,各因子と学習意欲との関連性では,ものづくり活動において「癒し」を感じる生徒の方が学習意欲も高い傾向が示された。一方,「無気力」などの「アパシー由来ストレス」を強く感じる生徒の方が,学習意欲が低くなる傾向が示された。しかし,「失敗に対する後悔」などの「プロセス由来ストレス」を感じる男子生徒では,むしろ学習意欲が高くなる傾向が示された。