抄録
総合的な学習の時間の趣旨を踏まえ創意工夫を生かした学習活動によって,児童の学習意欲の向上につながったと肯定的に捉えている教師が多い反面,総合的な学習の時間の指導はあまり得意ではないと意識している教師が一定の割合で見受けられる現状にある。そこで,小学校の教師を対象に質問紙調査と聞き取り調査を行い,教師の意識について整理と分析を行った。その結果,「総合的な学習を肯定的に捉えている教師は学習活動を教師自身も楽しんでいる」,「内容や方法の自由度が高いことから指導や準備に時間を要し不安感や負担感を抱いている」,「記録・作品・成果物,ポートフォリオファイルをもとにした教師評価,自己評価や相互評価,観察による評価を行っている」,「不安や負担の軽減には,計画時に何を重視してどのような学習環境を創出するか検討する」,「児童の興味をゆさぶり課題を発見させ自分で追究する意識と見通しを持たせ自力解決させる」,「実践記録や学習成果物を保存し引継ぎする意識を持つ」など,総合的な学習の展開上の示唆を導出することができた。